父と息子①

裁判員裁判
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罪名:傷害致死 T被告人:男性(30代) 職業:アルバイト

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切なく悲しい「家族とは」と考えさせられる事件です。
犯行時について詳細に語られるので、読み進める人は注意してね。

当時のニュース抜粋
「カッとなってお父さんをたたいた」 父親を複数回殴打。同居の息子を送検 父親はその後死亡。
住宅内で父親が殴られてその後死亡。息子が逮捕された。父親の死因は外傷性ショックで、肋骨が複数折れていた。
傷害の疑いで送検されたアルバイト従業員・T容疑者は、元日から1月3日にかけて、同居する父親の腹などを殴りケガをさせた疑いがもたれています。
父親は3日午後6時30分ごろ、心肺停止の状態で倒れているのが見つかり、家族が消防に通報しましたが搬送先の病院で死亡しました。
消防が事件性があるとみて警察に通報したことで事件が発覚。
その後の調べで死因は「外傷性ショック」、顔などに目立った傷は確認されていませんが、腹部を中心に複数回暴行を受け、肋骨が複数折れていたとみられています。

調べに対しT容疑者は「カッとなってお父さんをたたいた」などと話し、容疑を認めています。
これまでに親子間での暴行などについて警察に通報が寄せられた記録はありませんでした。
また事件当時、T容疑者は飲酒していなかったとみられています。
警察は親子の間で何らかのトラブルがあり、T容疑者が立腹して複数回暴行を加えたとみて、当時の状況などを調べています。


証人尋問 母 事件概要の証言まとめ
事件当時、被害者は寝室の出入り口側に背中を向け、布団の上に正座し上半身を床に伏せたようにしており、そのそばに息子が立っていました。

息子の暴力が始まったのは昨年11月ごろからです。
現在は私と夫、息子、娘(高校生)の4人で住んでいました。
夫の給料は15〜16万くらいで、私は12〜13万くらい。
事件当時、夫は仕事を辞めていたため私の給料のみで暮らしていました。

息子と夫は共通の趣味であるガンプラの話などをする仲の良い親子だでしたが、認知症がわかってから息子の暴力が始まりました。
私は息子が夫に手を挙げるとは思わなかったですが、不思議と暴力に対して怒りはありませんでした。
「日課」として夫に宿題や手伝いをして日記を書くよう家族で決めており、それが認知症の進行を食い止める(治る)と考えて、毎日行うよう伝えていました。


証人尋問 母 弁護側
弁護士:あなたから見た息子はどんな性格ですか?
被告母:おとなしくて優しい子です。趣味はプラモデルとゲームで、家にいるばかりではなく休日に友達と遊びにいったりもしていました。
弁護士:あなたから見た長女はどんな性格ですか?
被告母:はっきりものを言う子。いつも家族を心配してくれていました。
弁護士:あなたから見た夫はどんな性格ですか?
被告母:あまり喋らない多くは語らないタイプの人だが子供の教育はしていました。昨年から認知症を患っていました。
弁護士:あなた(母)自身の性格は?
被告母:気が利かなくてわがままだと思います。家を引っ張っているのはお父さん。
弁護士:息子の暴力に対して怒りはなかったのはなぜですか?
被告母:わかりません。
弁護士:息子に今後どうなって欲しいですか?
被告母:世の中の役にたつようになって欲しいと思っています。


証人尋問 母 裁判官
裁判官:認知症の介護の度合いは?
被告母:自分で茶碗も洗ったりしていました。
裁判官:脳梗塞を2回患っていたようですが、性格が変わったりはなかったですか?
被告母:うまく話せなかったです。夫も頑張っており家族関係は悪くなかったが、家庭内は暗かった。
裁判官:暴力を受けている時、被害者は声を挙げていましたか?
被告母:わかりません。咄嗟のことでわかりませんでした。
裁判官:親子の普段の関係性は?
被告母:仲は良かったです。
裁判官:「日課」を父はどう思っていました?
被告母:説明したら「頑張れる」と言っていました。
裁判官:「日課」をしている時の様子は?
被告母:嫌そうではありませんでした。

裁判官:1月3日の様子について聞きます。寝室での暴行時あなたが部屋を見た時、被害者は正座で上半身はうつ伏せ。被告人は被害者の左側にいましたね。そのあと被告人はどうしましたか?
被告母:手を挙げました。右手で右の脇側から背中を叩いていた。
裁判官:左にいたのに右を叩いた?
被告母:私には右にあたったのが見えました。
裁判官:1月2日の暴行について聞きます。被害者と向かい合い被告人は右手を振り下ろした?
被告母:右側に当たった記憶しかありません。あとはわからない。

裁判官:認知症の症状はどんなことでした?
被告母:字がおかしくて気がつきました。履歴書を書いたが空欄が多かった。
裁判官:程度はどうだったか?
被告母:医者からは「レベル3、再就職は無理なレベル」と言われました。
裁判官:日常生活は?
被告母:2度目の脳梗塞あたりから言葉が出てこなくなりました。
裁判官:認知症では大きな変化はなかった?
被告母:言葉くらいです。毎日話しかけていました。
裁判官:昨年からの変化は?
被告母:特に変わらなかったと思います。
裁判官:夫の介護は必要なかった?
被告母:介護は必要なかったと感じていました。
裁判官:なぜ認知症で病院に行ったんですか?
被告母:何か変だなと思ったんです。ちょっとした変化。

裁判官:どうして息子は手をあげたと思いますか?
被告母:自分がしっかりしていなくて、息子が負担だったのかと思います。
裁判官:息子の気持ちは理解できますか?
被告母:わからないです。

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「暴力に対して怒りはなかった」と言う言葉、この時は違和感しかありませんでした。
でもここに、この事件の悲しさがあったのかと思います。

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